両建てとは何か
海外FXにおける両建てとは、同一通貨ペアに対して買いポジションと売りポジションを同時に保有する取引手法を指します。この戦略は価格変動リスクを一時的に固定することができるため、裁量取引や自動売買において活用されることが多い手法です。両建ての最大の特徴は、相場が急激に動いた際でも含み損益を固定できる点にあります。
両建てが可能な理由
国内FXでは規制によって両建てが制限されている業者も多い一方、海外FXでは規制が緩やかであり、多くのブローカーが両建てを認めています。特にゼロカットシステムを採用している業者では、両建てと組み合わせることで追証リスクを完全に排除できるため、資金管理の柔軟性が高まります。
両建てのメリット
損失の固定化
価格が急騰・急落した際でも、両方向のポジションを持っているため損益が相殺され、損失がそれ以上拡大しない状態を作れます。
急変動相場での安全策
経済指標発表や地政学的リスクによって相場が大きく動く場合、事前に両建てをしておくことで予想外の方向に動いても資金を守ることが可能です。
戦略的なポジション調整
一時的に両建てを行い、後に有利な方向にポジションを解消することで、利確や損切りのタイミングを柔軟に調整できます。
両建てのデメリット
スプレッドコストの増加
買いと売りの両方を保有するため、その分スプレッドコストが2倍になります。長期保有を行う場合はスワップポイントによるコスト負担も無視できません。
資金効率の低下
証拠金が両建て分として拘束されるため、他の取引に使える資金効率が落ちてしまいます。特に高レバレッジを活かした取引を狙う際には不利になります。
判断力の低下
両建てを多用すると、どのタイミングでポジションを解消するべきか判断が難しくなり、結果的に利益を伸ばせない状況に陥る可能性があります。
両建ての活用シナリオ
経済指標発表時
米国雇用統計やFOMCなど、市場が大きく動くタイミングにおいて両建てを活用することで、一時的な乱高下を回避しながら有利な方向にポジションを調整できます。
長期ポジションのリスクヘッジ
長期的なトレンドフォローをしている最中に、短期的な逆行が予想される場合、一時的に逆方向のポジションを持つことで損失を軽減できます。
裁量トレードと自動売買の併用
EA(自動売買)を稼働させながら裁量トレードを行う場合、両建てを使うことで自動売買のポジションを維持しつつ、裁量で柔軟に相場に対応することが可能です。
両建て禁止の業者について
一部の海外FX業者では、両建てを禁止している場合があります。特に異なる口座間やボーナスを利用した両建ては規約違反とされることが多いため、事前に利用規約を確認することが重要です。規約違反が発覚すると、ボーナスの没収や口座凍結といったペナルティを受けるリスクがあります。
両建て戦略の実践ポイント
エントリーとエグジットのルール化
両建ては相場が一方向に進むと無駄なコストを発生させるため、どの場面でエントリーし、どのタイミングで解消するかをあらかじめ決めておく必要があります。
資金管理の徹底
両建てを行うと証拠金維持率が下がる場合があるため、レバレッジ設定や資金の余裕を持つことが求められます。
スワップポイントの確認
スワップがマイナス方向に偏る通貨ペアを長期で両建てするとコストが増えるため、取引通貨ペアのスワップ条件を確認してから実施することが重要です。
まとめ
海外FXにおける両建ては、リスク回避やポジション調整に有効な戦略であり、特に高ボラティリティの相場において資金を守る手段として役立ちます。しかし、コストや資金効率の低下といったデメリットも存在するため、ルールを明確にし資金管理を徹底した上で活用することが成功の鍵となります。